HIGUCHI_Kiyoyuki_Poison / Kalos Gallery

会期
 2016年5月7日(土)~5月29日(日)
 13:00~19:00 月曜日休廊
 入場料 ¥300 (期間中何度でも入場出来るパスポート制)

終了しました。

樋口清之写真展「毒入りのサンドイッチ」

私たちは、生まれながらにして吐いて捨てるほどの矛盾に囲まれ、
騙され続けて生きている。
何も感じず、疑問も抱かない。
社会で生きるには、そんな免疫を持たずにはいられない。
矛盾が矛盾で重ねられ常識になって行く。
それが、社会のシステム。

矛盾は解消されることなく、泡のように膨れあがり、弾け飛ぶ日を待っている。
あの日のように。
次々に溢れ出す矛盾。常識が常識ではなくなって行く。
あの時、湧き上がった疑問や怒りの感情は、騙される事をただ受け入れていた
自分自身へ向けての物だったのではないか。
そんなふうに私は感じた。

でも、同じ事の繰り返し。
過ちを繰り返さない為に作られた常識は、また新たな矛盾を作り出している。
私たちが生き続けている限り、矛盾は生まれ続ける。
真実を知る事は、とても困難で、矛盾の無い世界を作る事なんて出来るはずもない。
全てを受け入れ、毒が仕込まれていると知りながらも、社会が差し出す
サンドイッチを黙って食べて続ける方が、無難な生き方なのかもしれない。

ただし、私は何一つ変える事が出来なかったとしても、
真実に目を向けない事と何も出来ない事は違うと思っている。


樋口 清之

*毒入りのサンドイッチ:序文と結論に否定的報道をおいて、肯定的な報道を
挟み込み、肯定的な報道の意義を低下させる、という情報操作の手法の名称。




カロス・ギャラリーは、福島県福島市在住の写真家 樋口清之(ひぐちきよゆき)による個展 「毒入りのサンドイッチ」を開催します。

インターネットや携帯電話、それらインフラが高度に進化、普及するにつれ、いつのころからか情報化社会という言葉自体一般的に認知されるに至ったことは周知の事実です。それに伴い溢れるような情報から正しい或いは自分に必要なものを取捨選択することが非常に困難になってきていることも、これまた事実です。その中にあって、写真は重要な要素であり、大抵の場合、言葉や文章に付随し、視覚を通して一瞬でその状況を説明、伝えるものとしてあるように思えます。いわゆる、写真が本来担う記録としての役割と言えます。一方、写真家が自身の作品として発表するものについては、そうした制約のようなものはありません。各々が独自の視点や手法により、自身の考えやテーマを表現すれば良く、これは他の芸術についても同じことです。

今回が3度目の個展となる樋口は過去の個展や企画展において、自分の生活圏をフィールドにし、街や自然、家族といったモチーフから、日常の中で見過ごされそうな美しさや尊さ、儚さを表現することで、今ここで生きることの意味を追い求めてきました。そしてその答えは遥か遠くにあり、辿りつける確証などないわけですが、ただ現前にある光景をカメラ越しに覗き見、シャッターを押す行為を日常的に繰り返し行うことが、唯一そこに近づくすべであるとの思いを抱きながら、日々実践していたと言えます。

2011年3月、東日本大震災があり、被災地問わず誰もが生と死を身近に感じずにはいられない経験をすることとなります。福島に生まれ、育ち、今なお生活をしている樋口にとってもそれは大きな影響を与える出来事であり、この時期以降、作品発表を精力的に行うことになったのも、追い求めるテーマと直接的に繋がっていたからのように思います。あれから5年が経過し、復旧から復興をスローガンに状況や環境が徐々に変化していくにつれ、ある種の違和感を覚えるようになったと言います。やがて、その違和感は写真として現れてくるようになり、大きな塊に形づけられていきました。

タイトルである「毒入りのサンドイッチ」は、旧ソ連内で検証され、効果が認められた情報操作手法のひとつです。前述したように現在の情報過多による取捨選択の困難さは、ある意味それらを助長するにはうってつけの環境と言えます。写真も然りで、たとえ目の前の現象や事実を切り取っていたとしても、それが撮影者の意図を正確に伝えるかどうかははなはだ疑問なのです。

本展はこのような矛盾や疑問で混沌とした状況にある種の諦念を持ちながらも、個人としてどうあるべきかを自問し、愚直なまでに今までと同じアプローチで試み、辿りついた先と言えなくもありません。或いは、大きなテーマでもある生きる意味を考察するためのフレーズやアイコン、自身が抱える違和感を表す写し絵として作品個々を捉えられた方が理解しやすいかもしれません。その上で、言葉ではない写真だからこそ見えてくるもの、感じられることを率直に受け止めていただけたなら幸いです。

本展では、モノクロ作品、約38点を展示予定しています。



多くの方々のご来廊を心より願っております。




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○作品仕様

プリント:インクジェット・プリント
印画紙種類:エプソン 写真光沢用紙
印画紙サイズ:A2、A3ノビ
予定作品点数:38点

○プロフィール

樋口 清之 HIGUCHI Kiyoyuki

1983年 福島県に生まれる。
色々と想像するのが好きな子供だったと聞いています。
高校生の時に音楽に目覚め一時、ギターに夢中になる。
そんな日の明け方、朝日に照らされた街を見て感動。
小さな事だったと思うが「もっと世界に触れていたい」と思い立ち散歩をする。
その後すぐに、ただ散歩するだけではもったいないと思いカメラを購入。
写真を撮り始める。
以来、色々な出会いを得ながら今も散歩は続いている。



○主な出展歴

2011年7月 Love and Joy
2013年5月 個展「溶け出すように」
2014年1月 Sha-gaku vol.7 Act-1
2015年5月 個展「日々から日々へ」
2015年12月 Sha-gaku in Fukushima 福島テルサ 福島市

その他多数の出展歴有り、 形式は、個展以外は企画グループ展
会場は、「Sha-gaku in Fukushima」以外はいずれもカロス・ギャラリー