HIGUCHI_Kiyoyuki_hibi / Kalos Gallery

会期
 2015年5月16日(土)~6月7日(日)
 13:00~19:00 月曜日休廊
 入場料 ¥300 (期間中何度でも入場出来るパスポート制)

終了しました。

樋口清之写真展「日々から日々へ」

私たちは、流れるような時間の中を生きています。

今日が昨日に変わり、明日が今日になるように目の前にある「今」が瞬く間に「過去」に変わっていきます。そんなふうにして、私たちは生きた時間分だけの過去を持っています。

だから私たちは、自分を見失うことなく未来へ向かって生きていけるのだと思います。
しかし、私たちは過去の全てを記憶することは出来ません。思い出したいのに思い出すことの出来ない記憶もあれば、忘れたいのに忘れる事の出来ない記憶もあります。記憶は不確かで、全てを思い通りにコントロールする事も出来ないのです。だから私は、今、目の前を通り過ぎようとしている瞬間を、逃さず記憶として留めたいと願い写真を撮っています。

今回のモチーフである「家族との時間」は私がこのように考えるきっかけとなりました。
それまでの私は写真に対して、より強く、より美しく、完成度を求め、誰もが目にした事のないような写真を追い求めていたように感じます。しかし、家族の死や新たな家族の誕生といった変化を体験する中で、自分がいかに無力な存在であり、現実をただ受け入れ、またやってくる日々を精一杯生きることしか出来ないことに気付かされます。

すると当たり前の存在であったはずの家族は、とてもかけがえのない存在であり、ありふれた時間であった家族との時間も特別なものとして感じられるようになりました。やがて、写真そのものに変化が現れ、ありのままの「今」を撮す事が増えていき、これらには、私の感情がとじ込められている、そんな感覚を得る事ができました。そして、今までとは違った写真の魅力に出会えたように感じられたのです。

いつの間にか、撮りためられ、束になった写真を見つめ直していると、一つ一つの出来事に同じく価値があり「生」と「死」にも意義があるという事、直面した時には理解することができなくても、日々を重ねる事で、理解できる事もあるのだと知りました。そして、過去・現在・未来の自分を受け入れる事が重要なのではないかと考えるようになりました。
 
現在の我が家はものすごい勢いで成長する息子と共に嵐のような生活を送っています。
早く嵐が収まるのを願いつつ、嵐が収まれば、その静けさに寂しさを感じるかもしれない、想像すると複雑な心境になります。しかし、これが今を生きているということなのだと思います。昨日と同じ今日も、今日と同じ明日もやってこないということを噛みしめて、日々を積み重ねて行きたいと考えています。
沢山のかけがえのない記憶が生まれる事を期待しながら。

樋口 清之




カロス・ギャラリーは、福島県福島市在住の写真家 樋口清之(ひぐちきよゆき)による個展
 「日々から日々へ」を開催します。

2013年5月に開催した初めての個展「溶け出すように」では、普段の何気ない光景をハイキーで切り取り、画面一杯に光溢れる作品群は見る側に強烈な印象とありふれた日常に宿る美しさや幻想性を再認識させてくれました。その後も精力的に発表を続けましたが、2014年1月の企画展「Sha-gaku vol.7 Act-1」への出展を最後に発表活動を一時休止し、1年半振りの個展による作品発表になります。

タイトルとした「日々から日々へ」は、2011年7月、初めて作品展示発表を行った企画展「Love and Joy」におけるそれと同じです。モチーフも同様に家族との時間に当てられています。あれから約4年が経とうとしている現在、私生活はもちろん、写真に対する考えや向き合い方は当たり前のように変化しています。とりわけ、家族、街、自然といった自分の生活圏を撮影フィールドにしている樋口にしてみれば、たとえ自分が望まずともそこで起こる微細な変化を敏感に察していたことは容易に想像出来ます。特に家族というもっとも身近な存在の変化は、これまでも記憶の痕跡或いは記録以上のものとしてカメラを通し見つめようとしていたわけですから、直接的にその影響を受けていたに違いありません。

とは言え、一般に自身の家族を内側から撮影し、それらを写真作品として提示することは非常に難しいことと言われています。どなたにもそれぞれの家族があり、おおよそ想像の範囲内で解釈されるものであるが故、極めて私的な世界観の中にそれ以上の何かを見出そうとするには、時にドラマチックに或いはドラスティックな展開や趣向を作り手側に求められ、結果として本来表現したいと意識していた事柄が、強い印象のあるイメージやひとつの展開から予期せぬ結論へと導かれていく傾向にあるためです。

実を言うと、過去に発表してきた家族をモチーフとした作品についても、樋口自身、このことを充分に理解し、意識していました。しかも、それらを意識すればするほど、逆に不自然になっていく自分自身に歯がゆさを感じながら、次のステップへと進んでいたように思います。そういった意味では、1年半という猶予期間は、自分と写真、写真と家族、それぞれが複雑に絡みあう方程式を解くために必要な時間だったのかもしれません。そうして、樋口は作品としての写真を意識することなく、何気ない家族との日々をいとおしむように撮影するようになります。それは、ただ単純にそこに撮る対象があるからということではなく、共有した唯一無二の一瞬を逃したくないとの想いから生まれた自然の行為に立ち返ったのではと思えます。

増え続ける写真を見るにつれ、やがて、不確かではあるけれど、答えのようなものが見えてきます。家族を撮り続ける理由やその先にあるいくつかのこと、そんなひとつひとつがその答えに集約されていくことに気付かされ、いつしかそれらを形づけたいとの思いが強くなっていきます。

いささか長い前置きのようでしたが、2度目の個展のモチーフとして家族との時間を選び、それらを持って発表に至った趣旨は、写真家としての原点回帰であると同時にこれからの自分自身や家族とのあり方を問うためにあるのです。本当の答えは他にあり、今は届くことの無い遥か遠い先で待っているかもしれません。いずれにせよ、賽は投げられたのです。


多くの方々のご来廊を心より願っております。




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○作品仕様

プリント:アーカイバル・インクジェット・プリント
印画紙種類:ピクトリコ ソフトグロスペーパー
印画紙サイズ:A3ノビ
予定作品点数:34点

○プロフィール

樋口 清之 HIGUCHI Kiyoyuki

1983年 福島県に生まれる。
色々と想像するのが好きな子供だったと聞いています。
高校生の時に音楽に目覚め一時、ギターに夢中になる。
そんな日の明け方、朝日に照らされた街を見て感動。
小さな事だったと思うが「もっと世界に触れていたい」と思い立ち散歩をする。
その後すぐに、ただ散歩するだけではもったいないと思いカメラを購入。
写真を撮り始める。
以来、色々な出会いを得ながら今も散歩は続いている。



○主な出展歴

2011年7月 Love and Joy
2012年12月 Hope for tomorrow写真展
2013年5月 個展「溶け出すように」
2013年9月 モノクロームの世界
2014年1月 Sha-gaku vol.7 Act-1

その他多数の出展歴有り、形式は個展のほかは企画グループ展
会場はいずれもカロス・ギャラリー

 

Opening Partyのご案内!!

本個展を記念して、Opening Party を開催します。


 日時 5月16日(土) 19:30 - 22:30
 場所 カロス・ギャラリー内
 参加費 ¥700 
 予約不要、入退出自由、差し入れ、持ち込みは大歓迎です。

宜しくお願いいたします。

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