Takako_Kido_tohoku / Kalos Gallery

会期
 2012年5月12日(土)~ 6月17日(日)
 13:00~19:00 月曜日休み 入場料 \300
 期間中何度でも入場出来るパスポート制です。

The Ordinary Unseen - Tohoku -
Ⓒ Takako Kido

私の住む仙台市で地震が起こり、津波が来た。被災地に入ったけれど、最初は何を撮ればいいのかわからなかった。ただ、祈りながらシャッターを切るだけだった。でも、いったん撮り始めると、悲惨な場面だけ撮って終われない、と思った。

何度も撮影に通ううちに季節はめぐり、春になると、塩害をものともせず緑の雑草が茂ってきた。初夏には海から心地よい風が吹き、ここはどんなにか気持ちの良い場所だっただろう、と想像せずにはいられない。梅雨明けの日には、海もがれきも真っ赤な夕日に包まれた。きれいだった。そこには、何物にもくずせない美しいものが確かにあった。

きれい、と感じながら撮っていった私の作品には、次第にきれいな写真が増えて来た。被災地で撮影をしながら、きれい、と感じるのはどうなのか?という気持ちもあったが、自分の目で見て感じたものを撮り続けよう、と決めていた私は、迷いながらも、自分の感覚に従った。

そんな頃、仙台市在住で、仕事の合間を縫ってボランティア活動を続けている女性に、作品を見せる機会があった。私の写真を見た彼女は「きれいな東北を撮ってくれてありがとう。」と言って、涙を流し始めた。「私たちが住んでいるありのままの東北はとても美しい場所なのに、テレビや新聞に出るのは、がれきや悲惨なとこばかり。そんなとこばかりじゃないのに、、、。」彼女の言葉は私の迷いを晴らした。

目の前の現実は破壊されたものばかり。でもその奥に、“壊せない美しいもの”が確かにある。絶対に壊されることも創られることもない。ただ形を変えて存在し続ける。このエネルギーの特性を考える時、生命は永遠だと思う。お父さんとお母さんを津波で亡くした、漁師のよっちゃんは、こう話してくれた。「絶対忘れられないことだから、忘れずに、いつも胸に抱えて、前向いて進んでいくから。」体は亡くなっても、生命は一緒に生きている。愛する人々との、命と命の深いつながりの前に、生死のボーダーラインは存在しないのかもしれない。私が確かに感じた美しいものは、永遠の生命そのものの輝きなのでは。

夏の終わりになると、海辺で、夕涼みする人を見かけるようになった。秋の早朝には、釣り人たちが、のんびりと時を過ごしていた。がれきのまだ残る海辺の荒れ地。この現実が、日常になってきた事を感じた。ここからなのかもしれない。現実を受け入れて初めて、次にどうするか考える事ができる。次の一歩が踏み出せる。非日常のように思えた被災は、いつしか毎日の事となり、私自身もまた、ライフワークである、”The Ordinary Unseen” - 見えない日常 – を捉えようとしていた。東北で今またこのテーマに戻ってきたのは、悲しみの中で、あえて希望を選択して行くための私の挑戦なのだ。今一瞬一瞬の希望の選択は、希望の未来を作っていくと信じている。

木戸 孝子


在仙の写真家、木戸孝子による当ギャラリー2回目となる個展 “The Ordinary Unseen – Tohoku –“ を開催します。2010年夏に開催された個展 “The Ordinary Unseen”は、ニューヨークを舞台に、日常の中で見過ごされがちな情景をそこに或る心象と共に切り取り、卓越したプリント技術で表現し、多くの観客に支持されました。

帰国後、仙台を中心に写真家活動を開始した彼女にとって、震災は強烈な影響を与えるに充分なものでした。被災地に住む写真家として、被災地の現在そしてその後を写真として残すこと、それらがもたらすものの意味を自問自答しながら、幾度となく被災地を訪れ、撮影を続けました。

今回のタイトルは前回の個展のタイトルに“-Tohoku-“と付けているだけです。それは、津波によって瓦礫と化し、やがてそれらが片付けられ始め、何も無くなってしまった今が現実であり、そんな日常の中、消えうせることのない美しい自然やそこに住む人々の営みを、東北という地で再認識したからなのです。そういう意味では、彼女もまた、理由のない哀しさを突き付けられ、それらに対し、カメラを通し向き合うことで、自分自身を取り戻しつつある、被災地に住むひとりの人間であるわけです。

ここに提示される全ては、報道や記録とは一線を画す、まぎれも無いもうひとつの被災地の姿です。見られる方の心に届き、今ある日常の中にも、何ものにも代えがたい美しさが未だ残っていることを感じてもらえれば幸いです。作品は、6×6、6×7の中判カメラで撮影、自らのアーカイバル・インクジェット・プリントによる約30点の展示を予定しています。

入場料は期間中何度でも使用出来るパスポート制とし、いつでも鑑賞していただけるようにします。また、入場料収益の一部を被災地支援として、日本赤十字社を通し寄付させていただく所存です。

多くの方々のご来廊を心より願っております。



#01

#01

#02

#02


プリント:アーカイバル・インクジェット・プリント
印画紙種類:ハーネミューレ フォトラグ
印画紙サイズ:A3ノビ

グループ展 “Living with Photography”
 インスタイル・フォトグラフィー・センター 東京都
  4月17日~29日 

公式サイト

伊豆高原アートフェスティバルに出展(The Ordinary Unseenから)
  アトリエ春日 静岡県伊東市
  5月1日~20日

公式サイト

写真新世紀仙台展2012に出展、 アーティスト・トーク、 スライドショー
  せんだいメディアテーク 宮城県仙台市
  5月25日~30日
  アーティストトーク 5月26日(土) 15:30-17:30 せんだいメディアテーク

CANON ニュースリリース

現在、本写真展を始め、今後の予定にもありますように、多くの展示会への出展を予定しています。
震災から一年が過ぎた今、より多くの方々に被災地の姿を写真作品として見ていただき、被災地に住む方々やそれ以外の方々にも、改めて前向きな行動や支援する気持ちを持っていただくことを目的としています。

その為に、この活動に賛同していただける方を対象に、エンジェル募集を行っています。

内容は、通常は販売しない8.5×11インチ作品4点を、一作品、額装込みで¥20,000で販売し、制作・展示費用の一部に充てさせていただくというものです。個展"The Ordinary Unseen"のオリジナル・プリント作品につきましても販売をいたしております。

詳細は、左のサイドメニューにあります「Angel」もしくは「オリジナルプリント販売」ボタンをクリックし、ご覧下さい。

また、作品にご興味があり、巡回等での展示をお考えの方も合わせてご連絡を賜ります。
メールもしくはお電話等でお問い合わせ下さい。

宜しくお願いいたします。

Kalos Gallery代表 佐藤 剛